生前贈与と遺産相続、どちらを利用したほうがお得なのか、悩みますよね。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
まずは、一人っ子なのか、それともご兄弟がいるのか?それによっても変わります。
また、ご兄弟と仲が良いのか悪いのか…?
そんなところも影響してきますので、ご説明させていただきますね。
相続では基本的に親族などを対象として法定相続人に遺留分を残す必要がありますが、生前贈与の場合、財産を贈る相手を制限なしに選べるというのがメリットのひとつです。
「特定の財産を確実に希望する相手に贈りたい」という相続する側のお気持ちがあるのでしたら、生前贈与を利用するのがおすすめです。
生前に相続が完了していれば、相続争いも防ぐことができます。
相続時精算課税という課税方式があります。
この相続時精算課税制度では、2,500万円を超えなければ贈与に課税を受けることはありません。
とはいえ、その時点で課税を受けないだけで、相続発生時には、相続財産と贈与された財産を足した金額に相続税がかかるため、相続税の節税効果はないことがデメリットと言えます。
またもう一つデメリットがあって、1年間の贈与金額が110万円を超えない範囲であれば贈与税は免除となる課税方式がありますが、これを利用している場合、上記の相続時精算課税が使えなくなってしまうのでご注意ください。
特殊なケースになりますが、その他、相続時精算課税を利用して節税となるケースとしては、生前贈与の段階で価値の低かった不動産が、相続の時点で価値が跳ね上がっているというケースです。
都内で都心では、数千万円高くなる事例があります。
生前贈与で不動産を取得した場合は、
不動産取得税と登録免許税が発生します。
相続で不動産を取得した場合は、
不動産取得税はかかりません。
本人の意志にかかわらず「相続によって不動産を含む財産や負債を承継する相続人に対し、不動産取得税をかけるべきではない」という税務上の配慮に基づくものだそうです。
登記情報を変更する時は登録免許税が発生します。
ここまでをまとめますと、
①相続時に争いが起きないように、事前に綺麗にしておきたい場合は生前贈与がメリット大きい。
②相続はシンプルで争いの心配がないから、お金の事だけ考えたい!ということなら、不動産取得税を払わずに済む、相続時の方が安く済む。年間110万円ずつ、ちょこちょこ非課税内の贈与受け取っておいて、相続税を減らすというのも併用できてお得。
注意点
①必ず契約書を作成しましょう!
生前贈与に関しては、契約書が残っていないと、実際に相続となった時に遺族間でもめ事に発展する可能性があります。
トラブル防止のために、契約書はしっかりと残しておきましょう。
ただし、この契約書は、贈与する側とされる側のみで作成しただけでは、あまり効力が無い場合があります。トラブルの可能性が少しでもある場合は、弁護士や司法書士などに仲介してもらって、公証役場で保管しておくなど、費用はかかりますが、念の為の対処をしておきましょう!
②遺留分侵害額請求について
生前贈与で贈与した財産に関しては、後々、ご兄弟間や親族間の状況次第によって、遺留分侵害請求の対象になるケースがありますので注意が必要です。
遺留分侵害請求とは、遺産相続の権利を持つ法的相続人が、自身の遺産分配分が少ない場合に起こせる請求です。
贈与を受けた人に遺産としての不足分を請求できるという権利です。
遺留分侵害として、訴訟が起きてしまわないように、法定相続人となる方には事前にきっちりと説明し、納得してもらっておきましょう!
③基本的には相続のほうが税金は安くなる!
生前贈与の贈与税と、遺産相続の相続税についてご説明しましたが、基本的には贈与税よりも相続税のほうが安くなるケースが多いです。
特殊なケースを除けば、相続時に相続をするほうが節税対策になることが多いです。
生前贈与を考えている方は、慎重に、さらに、専門家の意見をよく聞いて決断することをおすすめします。
不動産相続について、ご相談も承っております。
ぜひ、弊社までお問い合わせください!
不動産エージェント株式会社 代表取締役 南雲美穂